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[研究] 『Skeletal Muscle Adaptation to Exercise Training』


骨格筋のトレーニングへの適応
AMPが筋繊維の変化を調整する
Skeletal Muscle Adaptation to Exercise Training――AMP-Activated Protein Kinase Mediates Muscle Fiber Type Shift



【概要】
持久性トレーニングは健康や肥満予防、心疾患リスクの低減や糖尿病予防に効果をもたらす。
本研究の目的はAMPKのトレーニングへの適応を明らかにすることである。

実験:6週間のマウス実験
タイプ2bからタイプ2aへのシフトが自発的な車輪での運動によって誘発された。
同程度の走能力にも関わらず、この変化は、AMPKα2をノックアウトしたマウスでは40%ほど小さかった。
対照群のマウスでタイプ2aでのAMPK活性は増加したが、トレーニング群と差はなかった。

AMPKがトレーニングによるものかどうかを調べるため、ミトコンドリアマーカーと耐糖能を調べた。
結果、ミトコンドリアマーカーはノックアウトマウスとで差はなく増加していた。
対照群マウスは~25%で増加していたが、トレーニング群と差はなし。
耐糖能もいずれにも差はなし。

トレーニングによる ~65%の増加(hexokinase)はノックアウトマウスでは見られなかった。
これは対照群マウスでも有意に増加しており、トレーニングによる更なる増加はなかった。
AMPKはトレーニングによるミトコンドリアマーカーの増加には必要ではないが、タイプ2Bからタイプ2Aへの変化とhexokinaseの増加には必要である。





【所感】
結論としては、AMPKは、トレーニング後の筋繊維タイプの変化とhexokinaseⅡタンパクの増加において重要な役割を担っていて、ミトコンドリアマーカーに関してはAMPKに依存しない

マウスの実験ですが、AMPKの作用について、なかなか面白い実験だと思いました。
流石に人間でAMPK抑えてのものなんて不可能ですので、可能性を調べる、という意味ではマウス実験のほうがやりやすいということはあると思います。

AMPKとは、ATPがADPやAMPになって、体内で不足した時、つまりエネルギー不足のときにおいて発現するものです。
基本的にネガティブフィードバックとして、ATPの消費を抑えて、ADPやAMPからATPの再合成を促すように働きます。
つまり、持久力をつけるために役立つわけですが、
この時、筋肥大も同時に抑えてしまう、という影響もあります。
これが、持久性トレーニングによる筋肥大抑制作用にもつながるのですが、
エネルギーを節約しようとするため、エネルギーの無駄である筋肉を増やさないようにしようとする、ということです。

筋繊維においても、この実験からは、タイプ2B→タイプ2Aへの変化が誘発されています。
タイプ2bは速筋線維の中でも特に強い繊維、タイプ2Aは遅筋との中間で、遅筋と互いに変化しやすい繊維です。
つまりAMPKによって遅筋優位へと傾きやすい可能性が示唆されています。

マウスなのでそのまま人間に当てはまるとまでは言えませんが、
持久性トレーニングを増やすと速筋と遅筋割合は遅筋側に傾くのは直感的ですし、
その作用機序の一つであるのかな、と思います。

逆に、このAMPKを抑えるようなことが人間で可能になれば、
速筋と遅筋のバランスをコントロールできるようになるかもしれません。
(現在でも、多少は可能ではないですが、遺伝要素が大きすぎる)


なお、AMPKはmTOR活性を負の方向に調整します。
そのため、HMBなどと(筋合成に関しては)逆の作用を持ちます。
なので、持久トレーニングする時は、筋合成を抑えないために、なおさらHMBなどの有用性が高まりますね。


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Tag : 研究

[研究] 『Oral L-citrulline supplementation enhances cycling time trial performance in healthy trained men: Double-blind randomized placebo-controlled 2-way crossover study』


シトルリン経口摂取がサイクリングテストのパフォーマンスを高める:
(二重盲検法によるクロスオーバー研究)
Oral L-citrulline supplementation enhances cycling time trial performance in healthy trained men: Double-blind randomized placebo-controlled 2-way crossover study

【概要】
多くの研究でNO産生サプリメントが競技能力を高めることが示されている。
これはNOが運動中の血流、エネルギー代謝、ミトコンドリアに関わるからである。
シトルリンはLアルギニンの前駆体であり、NO産生の元であるが、この経口摂取の効果を調べた。

22人の熟練した男性に2.4gのシトルリン、あるいはプラセボを7日間、就寝前に摂らせた。
8日目には4kmのタイムトライアルテストの1時間前に摂取させた。
4km完走時間と、パワー/VO2比率、血漿中のNO、アミノ酸レベル、主観的な疲労を比較した。

結果、シトルリン摂取した場合、血漿中のアルギニンレベルが高まり、タイムが1.5%短縮した。
さらに、シトルリンは運動後の主観的な筋疲労と集中力を有意に改善した。




【所感】
2.4gというのはわりと少用量の研究だと思います。
アルギニンやシトルリンサプリメントが競技能力を高めるという研究自体はかなり多いですが、
大抵の場合は4gや6g、場合によっては8gといった、ある程度多めの量が用いられます。


この研究のデザインは二重盲検のクロスオーバー法で、信頼性が高いタイプです。
実験プロトコルも良くて、きちんとウォッシュアウト期間も設けられ、テスト前の朝食からきちんと管理されています。

だからこそ誤差も小さくなり、結果も出やすかったのだと思います。
(それでも誤差が大きく、対となるt検定でもpが0.01未満にならなかったのでしょうが)

p<0.05は有意傾向レベルなので、結果が出ている、とは言い難いですが、1.5%の差をどう評価するかですね。
570秒弱と580秒弱で10秒弱の差です。

これが限界値を1.5%伸ばすならば非常に有効なのですが、今回の場合余裕を持った状況での1.5%なので評価に困ります。
パワーでも2~3%ほど上がっていますが、同様です。
平均時速が25~30kmほどで、自転車速度としては限界に近い速度とは思えません。
これがこのまま自転車競技を行っている人には役立つ、という証明にはなりますが、
そのまま高重量のトレーニングであてはまるかは別になりそうです。



疑問点としては、NOサプリメントで出力を高める場合、トレーニングの前のみでの比較が多く、今回の場合それ以前の1週間がどれほど影響したかですね。
NOサプリメントは蓄積して効果が出るタイプのものでもないので、なくても結果が出そうですが。
長期ではともかく、1週間では出てこないと血管レベルへの影響は思いますし。

ぜひこのデザインでの研究や、それをまとめたメタレビューが増えてほしいです。


ちなみに、NO系サプリメントで出力を高めたりすることを目的とするなら
アルギニンなら4g、シトルリンなら2gくらいは最低必要だと考えています。
それ以下で効果が認められた研究は少ない印象があります。
(アルギニンの方が必要量が多いのは小腸、肝臓でのロスがあるため)

すべての人に効果があるとは限らず、場合によってはより多く必要かもしれませんが、
最初はそのぐらいから始めて見るのが良いと思います。

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Tag : 記録

[研究] 『Reduced fat mass and increased lean mass in response to 1 year of melatonin treatment in postmenopausal women: A randomized placebo-controlled trial』


閉経後女性のメラトニン摂取による、体脂肪減少と除脂肪体重増加
Reduced fat mass and increased lean mass in response to 1 year of melatonin treatment in postmenopausal women: A randomized placebo-controlled trial

【概要】
概日リズムの調整の他、メラトニンは様々な効果を持つ。
たとえば体重やエネルギー代謝に関する好ましいものがあると考えられているが、これは主に動物実験によるものである。
この研究では、人間の場合でも同様の効果が得られるかを明らかにする。

二重盲検法によって、81人の閉経後女性に対して、メラトニンを1年間(1あるいは3mg/day)摂取させた。
1年後、体組成の変化、レプチン、アディポネクチン、インスリンなどの変化を測定した。

結果、減少した体脂肪はプラセボ群に比べて6.9%大きく、また、除脂肪体重の増加も5.2%大きかった。(メラトニン3.3%増加、プラセボ1.9%減少)
BMIもプラセボより2.6%増加していたが、有意差ではなかった。
アディポネクチンの基準からの増加量は、プラセボに比べて21%増加した。
レプチン、インスリンなどに有意差はなかった。

この結果から、メラトニンの体組成、脂質代謝、アディポネクチンに関する有効性が示された。



【所感】
メラトニンというと成長ホルモンとの関係なども示されていますが、直接的に体組成と結びつけた研究は珍しいと思いました。
特に、ヒト試験はあまり目にしたことが無いです。
1年間と長期ですし、量も1mgあるいは3mgと普通からむしろ少なめの量で、有意差がきちんと出るのに驚きです。
人数が81人と二重盲検法としては多いからでしょうか。

作用機序に関しては詳しく述べられていないのですが、成長ホルモンなど直接的なもの、睡眠など概日リズムの調整による影響などが考えられます。
閉経後女性、というのがどれほど関わってくるのかわかりませんが、ホルモンバランスの調整などにも関わるのでしょうか。
効果が、この研究結果ほどに出るかはともかく、上記の効果に関しては一般的にも成立すると考えています。

メラトニンは睡眠の質向上などが主目的のものですが、体組成や代謝、ホルモンにも高影響をおよぼすのであれば
非常に安価ですし、取り入れる価値がさらに高まりそうです。

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Tag : 研究 メラトニン

[研究] 『The efficacy of a β-hydroxy-β-methylbutyrate supplementation on physical capacity, body composition and biochemical markers in elite rowers: a randomised, double-blind, placebo-controlled crossover study』


二重盲検クロスオーバー法による、HMBのもたらす効果
The efficacy of a β-hydroxy-β-methylbutyrate supplementation on physical capacity, body composition and biochemical markers in elite rowers: a randomised, double-blind, placebo-controlled crossover study

 
【概要】
HMBはスポーツ界で注目されているが、長期的にその効果を調べた研究は限られている。
ここでは体力、体組成、化学マーカの観点からHMBの効果を評価することを目的とした。

16人のエリートボート選手に対して12週間、1日3g(1g×3回)あるいはプラセボを摂取させた。
これは10日間のウォッシュアウト期間を設けて、クロスオーバー法で行った。


結果、対照群に比べて、HMB群ではVO2MAXが増加し、換気性作業閾値(VT)に達するまでの時間が延長されるのに加えて、閾値での負荷(出力?)、心拍数も増加していた。
加えて、運動の限界時間の延長、負荷の最大値、無酸素ピークパワーも増加していた。
また、体脂肪についても減少していた。
一方で、血中マーカレベルには、プラセボと差異がなかった。

この実験結果をまとめると、HMBの摂取が有酸素能力を高め、体脂肪を減らすこと、同時に無酸素パワーを高める効果を示した。



【所感】
二重盲検でのクロスオーバー法なので、質の高い実験方法ですね。
これ以上となると、同様の実験をサンプルを多くして行うか、研究を集めたメタアナリシスとなります。
(これは被験者数が少ないのでエビデンスレベルは2-に分類されるのでしょうか)

対象者がエリートレベルというのも良い点です。
元々体脂肪率なども低く、完成された体組成を持っていると考えられ、その上でも効果があったということですので、
トレーニングを長年続けている人でも同様だと思われます。
逆に言えば、初心者レベルのトレーニーだとどうなるか、というと一概に適用できないかもしれない、ということですが、
トレーニング強度などと直接関わりは薄そうに思えるので、経験年数などはあまり関係なさそうです。
用量も一般的なもの(3g/day)ですし、エリート選手を対象としていても、一般性は失ってないと思います。


HMBといえばm-TORを抑えることで筋肥大を促すものとして知られていて、
体脂肪を落とす際に筋肉を維持しやすくする、という使われ方もします。
持久力との関連性はあまり耳にしたことがありませんでしたが、調べた研究は結構あるようですね。

Effects of β-hydroxy-β-methylbutyrate on muscle damage after a prolonged run
Effect of beta-hydroxy beta-methylbutyrate on the onset of blood lactate accumulation and V(O)(2) peak in endurance-trained cyclists
High-intensity interval training and β-hydroxy-β-methylbutyric free acid improves aerobic power and metabolic thresholds
Effects of beta-hydroxy-beta-methylbutyrate on aerobic-performance components and body composition in college students

実験研究ですが、かなり多くの研究を参考にしていて、参考文献を拾うだけでもかなり面白いと思います。
HMBとテストステロンやコルチゾルとの関係などは興味深かったです。



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Tag : HMB

[研究] 『A review on effects of conjugated linoleic fatty acid (CLA) upon body composition and energetic metabolism』

体組成とエネルギー代謝への、共役リノール酸の効果に関するメタレビュー
A review on effects of conjugated linoleic fatty acid (CLA) upon body composition and energetic metabolism

 
【概要】
CLAは体組成や心疾患リスク要素を改善するといわれる。
CLAは体脂肪を減少させることが、血糖値、動脈硬化やガンへの効用と同様に、実験的に示されている。
さらに、CLAは免疫能力の調整、グリコーゲンの再合成や骨の代謝にも関わっている。
脂肪分解を亢進し、蓄積を抑制するメカニズムはリポ蛋白リパーゼの抑制とCAT-1の活動増加、PPARγとの相互作用、UCP-1の発現などによるものと推定されている。

CLAのサプリメントを人に与えて体重減少を示した研究はあるが、それらの結果は統合されていない。
むしろ、幾つのかの研究においては、糖質や脂質代謝にネガティブな効果を示したものもある。
この研究では、CLAの体組成やエネルギー代謝への効果に関してレビューを行うことを目的とした。


結論としては、CLAのサプリメントがもたらす効果は人と動物実験で一致しない部分があるものの、
人を対象としたものでは、CLAは体脂肪を減少させ、体組成改善に有効だと示されている。
ただし、CLA単独あるいは、運動との組み合わせての体組成の変化を評価した研究は殆ど無く、医学的根拠としては不十分である。
また主な副作用については既に研究されている。


このため普段の生活でのCLAが強化された食品は脂質異常を減らすための代替手段になるだろう。
加えて、確実に体組成を改善し、健康への副作用もないことから、肥満からの合併症予防にもなるかもしれない。



【所感】
メタレビューなので引用文献が半端なく多いです。
すべて読むのは、困難でしょうし、全体を流し読んで気になった部分の参考文献を参照する程度でも十分だと思います。
この研究ではポジティブな結果、ネガティブな結果どちらも記載があり、中立的な立場からまとめられているのが良いです。

全体の要旨としては、CLAの良い利用方法としては、強化された食品を摂取することを推奨しているようですね。
例えば牧草で育てた牛肉などはCLAが多く含まれます。
サプリメントの利用については、ポジティブ面を紹介した上で、ネガティブな側面、特に肥満者での副作用などを述べています。

私のこれまで読んだ研究の印象としても、CLAはかなり評価の別れるサプリメントでして、
体脂肪の減少には効果を挙げるものが多いですが、健康面では真逆の効果になる場合もあります。
これに関しては、本文中でも言及されていますが、CLAの種類が関係しているという考え方が強いですね。
どの位置がシストランスになるかで主に2タイプあり、効果が逆になります。
(一方は減量効果が強く、もう一方は健康的側面が強い)
大抵のサプリメントでは半量ずつ混合されているため問題ありませんが、実験的には一方のみを投与することがあり、結果に矛盾が生じると思われます。


もう一つ考えられるのは被験者の体組成です。
実験では肥満者では副作用が出やすいと考察しているものがあります。
CLAには分解された中性脂肪が再取込されにくくする効果があり、これがエネルギーレベルを高めますが、
言い換えればこれは血中の脂肪が増えるということです。
したがって、そもそも血中の脂肪が多い人、特に体脂肪率が高い人の場合は血中の脂質が多くなりすぎ、脂質異常症リスクを高める可能性があるでしょう。
(HDLの低下や)
一方で体脂肪率が低い人の場合は血中の脂肪が少ないので、このデメリットはなくなります。


以上のことから、CLAを利用する場合には魚油の重要性がさらに高まると思います。
魚油にはCLAのデメリットにを打ち消す方向の作用があるためです。

ここでは体脂肪減少にフォーカスされていますが、ホエイやクレアチンなどと組み合わせた時、CLAありとなしでは筋力の伸びに差がでたという実験もあります。
筋力や筋肥大にも有効なサプリメントと言えるでしょう。

CLAについて

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Tag : 記録

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